本番の披露の前に習礼を…と、
習礼の茶事にお招き戴きました。
事前の話では、
どうも私が正客役を務めることになりそうだったので、
務まるのかどうか…と心配をしていたのですが、
それどころか、
ちょっと特殊な茶室の構成のため、
なんと私が正客とお詰めの一人二役に…。
二人で席に入って、
二人とも正客もお詰めも出来ないのにどうしますか?…と話していたものが、
その二役共が私に回って来るとは。
誰が悪いって、
元をたどれば、
こんな構成を提案した私が悪い
…のかな?
そんな大変なことになったんですが、
放っておいても時間は流れていくもので、
なんとか二人で、こっそり(時には堂々と)相談しながら、
また、無作法な私を暖かく迎えて戴いたご亭主さまのおかげで、
大きな問題はなかった(ことにして戴いて)、終えることが出来ました。
とてもお天気が良かったので、
光と影がはっきりと浮かび上がり、
工事中に何度も見て、
何度も考えて来た景色が、
茶事という流れの中で見ると、
想定をはるかに上回る効果を発揮してくれている部分も多く、
少々感動しましたので、少しばかりご紹介。
この日は、
この間ご紹介したフォトグラファーの桑島さんも入っていて、
ご亭主に撮影のご了解は得ていましたが、
さすがに茶事の流れの中では、撮れる写真も限られていたので、
少しだけですよ。
それと、上の写真は事前に撮ったものです。
いくら私でも、お茶事の日にこの写真は撮れませんので…。
まずは待合で、
すだれの影はそのものなんですが、
左下は建物、新しいお茶室「玄庵」の影です。
方角を考えれば、すぐにわかる話ですが、
ここに写る影がこんな影になるとは創造していませんでした。
関係ない人には、ただの影かも知れませんが、
建築に関わった人間としては感慨深いものがあります。
次に席入り。
ここも何度も確認している風景ですが、
にじり口を開け、中を見ると、
ようやく出来上がって来た扁額を掛けたばかりの空間が目に飛び込んできました。
扁額が掛けられたのが前日ということもあって、
写真では見ていましたが、直接見るのは初めて。
ところがその扁額は、ずっとそこに掛かっていたように佇んでいました。
すっかり雰囲気に馴染んでいる姿にホッとするとともに、
この扁額一つを掛けたことによる空間の引き締まり方は、
私の想定をはるかに超えていることに驚きました。
材料は神代杉。
長い眠りからさめた神代杉のパワーなのかもしれません。
また、写真の扁額の下に見えるのは点前座の天井なんですが、
その天井材は真菰。
そして、今日のお茶事の汁椀の具も真菰。
真菰の天井材…と聞いて、
すぐに真菰について調べ、
神事にも使われるという材料そのものにも感動して戴き、
更に、三重県の菰野に行かれた際に、
真菰が食べられることを知り、
茶事の汁椀の具に使って振舞っていただけるという、
御亭主のお心遣いに感動致しました。
ちょっと長くなってきたので、
続きは明日…。
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