菊間瓦

 

関西では、三州や淡路の瓦が主で、

 

建築の仕事をしている我々にとっても、

 

菊間瓦という名前は、あまり耳にしない瓦です。

 

でも、同じいぶし瓦。

 

いぶし瓦とは、

 

釉薬や塗料を使わず窯の中でいぶすことで表面に炭素の銀色被膜を形成させる瓦のことで、

 

独特の風合いは数寄屋をはじめとする日本建築で多く使われています。

 

釉薬では表現できない、奥ゆかしい光り方が独特で、

 

その奥ゆかしさが、日本建築の神髄でもあるように感じています。

 

 

今治市の西部、松山から行くと海沿いを北に進んだ位置になるのかな?

 

…にある、菊間町で作られている瓦がこう呼ばれているようです。

 

1200年代後半から瓦の製造が始まっていたようで、

 

皇居御造営の御用瓦を献上したり…と、日本の格式ある建築を支えてきた…と聞きました。

 

また、大阪城にもつかわれていたとか。

 

緊急事態宣言が出る直前の4月のある日、工場を見学させて戴きました。

 

 

窯にいれ、

 

 

火を止め、燻す。

 

 

で、取り出す。

 

…という工程。

 

菊間では、どんどん瓦の材料となる土が手に入り難くなってきているので、

 

淡路の土で焼いているところもあるとか…。

 

三州や淡路に比べると、若干小さいらしいです。

 

ちなみに、この瓦やさんのショールームは、

 

トイレの壁が瓦タイルのレリーフになっていたり、

 

地元の砥部焼の洗面ボウルがつかわれていました。

 

 

床用の瓦タイルも、

 

表面のテクスチャーにいろんな種類のものがありました。

 

 

 

阪神大震災以降、

 

屋根が重い建物は、耐震性に不利に働く…ということで、

 

重い瓦屋根の建物はどんどん減り、

 

都会では瓦の建物が減り続けているように思います。

 

また、その減ってきた瓦の建物の中でも、

 

いぶし瓦は瀬雄瓦に比べるると、少々高価なので、

 

いぶし瓦を使って建てられる住宅もどんどん減ってきているのが現状です。

 

 

 

ただ、耐久性という意味では瓦に勝るものはなし。

 

奈良の元興寺では、創建当時の飛鳥時代の瓦が、

 

1400年を経て、まだ普通に使われています。

 

 

屋根の重い建物は地震に弱い…という話については、

 

いろんな考え方やその対処方法もあり、

 

地震に強い建物=瓦屋根以外の軽い屋根の建物…という単純な話でもないし、

 

今日の本題とは異なるので、機会があれば別に書くことにします。

 

 

 

 

 

で、今回の現場、菊間瓦で屋根をふきます。