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池田文庫 大小庵

 

池田文庫 大小庵 にて……のお茶会へ。

 

 

この日は、1月25日。

 

小林一三翁の祥月命日。

 

この辺のお話は、

 

おそらくどなたかがどこかに書いておられると思うので、

 

いつものように割愛します。

 

 

お菓子は当然「雅俗饅頭」。

 

お席では「雅」の押印についての笑い話もありましたが、

 

それも、ここに書いても面白くないので割愛。

 

 

 

さて大小庵。

 

資料によると、建てられたのは昭和16年頃のようで、

 

HPによると、

それを、昭和35年に小林邸より池田文庫内に移築したようです。

 

 

小林一三の座右の銘ともいうべき「胆大心小」から名付けられ、

 

「田舎家」と呼んで愛用された……というお茶室です。

 

 

扁額は三井高保男爵の筆。

 

お茶会なので、写真撮れませんでした。

 

 

 

床の照明が明るすぎるのはご愛嬌。

 

これでも工夫されて、光量を落としたらしいのですが、

 

そもそも、器具が明るすぎるようですね。

 

 

床の間の照明って、

 

広間ならそこそこ誤魔化せるんですが、

 

小間はほんとに難しい。

 

何ならなくてもいいぐらいの場所でもあるし、

 

なかったらないで、

 

お軸の字が見えなかったりする。

 

  

だから、いつも、明るすぎないか、暗すぎないか…とひやひやします。

 

同じ器具でも、反射光の具合で全然見た感じが変わりますしね。

 

 

スポットを使っている方もいますけど、

 

飾り棚とかならわかるけど、

 

あまり方向性の強い光は、

 

床の間には合わないと、私は思います。

 

 

戻します。

 

 

床柱は薬師寺の古材の名栗。

 

材種は杉のようでした。

 

 

無骨ですが、全体の雰囲気によく合っていて、

 

部屋の大きさにしては少々太目なところが、

 

とても力強い印象に映っていました。

 

 

「田舎家」と呼ばれていたこの建物は、

 

近隣の古家を解体して出た古材で建てられているからという理由もあるということで、

 

一番目立つ引違い襖の脇の柱は、

 

敢えてほぞ穴を部屋内に向けたのかな…というぐらいにほぞ穴が見えていました。

 

 

古材…を使っているので、

 

木が白々しくなくて、

 

角の取れた馴染みやすい落ち着いた雰囲気から、

 

空間の柔らかさ、または、ぬくもりみたいなものを感じました。

 

 

…が、これは、

 

この日が雪がちらつく極寒の日で、

 

駅から池田文庫までの道中を雪に降られながら歩き、

 

体の芯まで冷え切ってしまった身体が、

 

お茶室の中を、本当にしっかりと暖めて戴いていたおかげで、

 

体が本来の機能を取り戻し始めた……ということもあって、

 

その温もりを私の脳が勘違いした可能性もあります。

 

 

建築の印象って、

 

そういった外的影響や身体感覚によって左右されるものでもあると思います。

 

 

ただ、古材というと、私も以前、

 

マンションのリフォームで造った ”お茶室にはならないお茶室” に古材を使いましたが、

 

一本の古材の梁が、空間の質までを和らげてくれたのを実感しています ↓ 。

 

 

 

点前座の明り取りの配置は、即庵と同じです。

 

即庵は昭和12年に建てられたということですから、

 

大小庵は即庵の点前座を模した……ということになりますね。

 

おそらく、この形がお好きだったのでしょう。

 

 

即庵も台目切りと向切と炉の位置を変えてのお点前が可能なようですが、

(※今もそうなっているかは知りません。)

 

この大小庵も台目切の他に向切の炉も切ってあったらしく、

(※今もあるかどうかは知りません。)

 

一つのお茶室でいろんな点前が出来ることを

 

考えておられたようです。

 

 

4畳半の真ん中には、半間角の囲炉裏があったらしく、

 

その痕跡として、

 

天井の中心に蛭釘が付いていました。

 

 

この辺りも、「田舎家」と呼ぶ所以なのか、

 

「田舎家」と呼んでいたからそうしたのか?

 

どちらが先かわかりませんが、

 

おもしろいですよね。

 

  

 

お席のあとの雑談タイムに茶道口側から部屋を覗かせてもらいましたが、

 

茶道口からの景色が、実に新鮮な感じがしました。

 

 

床の照明が明るすぎるせいか、

 

沈潜りの印象が、とりわけ強く感じましたので、

 

たぶんそれが、新鮮さのひとつの原因ではないかともおもいますが、

 

この一瞬の印象は、

 

外の明るさ、照明、道具、場の雰囲気……等々、

 

いろんな条件が合わさっての印象なので、

 

ひょっとしたら、違うのかもしれません。

 

 

私は、評論家ではないので、

 

その結論を急ぐ必要もなく、 

 

たくさんの違ったシチュエーションを経験して

 

だんだん答えがわかってくるものでもあると思うので、

 

次の機会の感じ方を楽しみにしておきたいところです。

 

 

丼会の考え方とこの大小庵。

 

小林一三翁が私たちに、

 

何かのヒントを与えてくれているのかもしれません。

 

そんな風に感じて、

 

大小庵を後にしました。

 

 

で、このあと、

 

池田の名店での『反省会』へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとうございました。